Jewishのお葬式

現地のお友達の義理のお父様が、新型コロナが原因で他界しました。

ずっと家族ぐるみで仲良くさせてもらっていて、お父様が重症化していて危篤状態だったのも知っていましたが、Jewish(ユダヤ人)のご家庭なのでお葬式に呼ばれた時は正直びっくりしました。

しかも連絡があったのは葬儀当日の午前中。

その日の午後に葬儀があるから、と。スマホにメッセージが入って、地図も載っていました。

 

今回私はまだイギリスに戻ってきたばかりなのですが、その友達とも何だか昔からずっと一緒にいたみたいな気がしていて、二つ返事で参列すると伝えました。

でも待てよ。Jewishのお葬式って、、、

知識がなさすぎて、何を着て何を持って行けばいい???

もう一人、アジア系の友人も一緒に行くことになっていたので2人で慌ててネット検索。

着ていく服については友人本人に思い切って聞いてみると、黒ではなくカラフルな服の方が故人の豊かな明るい人生を象徴するようでむしろ好ましいと言われ、なるべくフォーマルな服の中で明るめ色の服を選んで着ていくことにしました。

しかも手ぶらでいいと。

危うく全身真っ黒な喪服で行こうとしてたー。危なかった。

 

会場に到着すると70人ほどのユダヤ人が集まっていて、ユダヤ人じゃないのは私ともう一人の友人だけでした。かなりアウェイ。

皆さん彫りが深い顔立ちで、髪はカールしていて金髪か茶色い色の方が多く、男女共に素敵な帽子をかぶっている方が多いので、

私の髪もヘアアイロンで思いきりカールして帽子をかぶってくればよかった。と小さく後悔。

あとカラフルな人は一部で、80%ぐらいの人は黒っぽい服でした。

 

日本のように現金を包んで入り口でお渡しするようなことも、お花をお供えすることもなく、本当に皆さん手ぶらで来ていて、帰りも自由解散で何か手渡されることもなく、食事会などもなく、

お互いにとても参加しやすい雰囲気ではありました。

 

斎場はお墓とセット。

時間になると、まずは斎場の建物の中に入るのですが、2つ入り口があって男性用の入り口と女性用の入り口が違いました。

普段のSinagogue(教会)での礼拝も男女で入り口が違うと聞いたことがあります。

入ると大広間で一緒になるのですが、真ん中に牧師さんのような方がいらっしゃって棺が置いてあり、左側に男性、右側に女性が集まりました。

最初から最後まで立ったまま参列ですが、高齢の方などが座れるように壁側は簡素な木の長椅子のようになっています。

仏教のお経のような、キリスト教の聖書のような、お祈りの文言が書かれた本が積んであって

各自一冊ずつそれをとって、牧師さんが〇〇ページと案内するとそのページを開いてお経のようなお祈りの言葉を読みます。

Hebrew(ヘブライ語)で右から左に向かって書いてあって文字もちんぷんかんぷんなので私ともう一人の友人はただ黙って立っていました。

讃美歌のような歌もありました。それもHebrew。切ない感じのメロディです。楽器はなくアカペラでした。

お祈りの部分以外は英語で、喪主の挨拶(お友達のご主人)はジョークも交えながら故人を偲ぶスピーチがあって、温かい感じがしました。

 

さて、一連の葬儀が終わると今度は棺をゆっくりとお墓へ移動させます。

動き初めて気がついたのですが、棺はタイヤのついたマシンの上にのっていたのです。

先ほどまでの伝統的な厳かな雰囲気とはひと味違ってウィーーーンと近代的な音を立てながら棺をゆっくりと外に運び出し、参列者もそれに続いてゆっくりと歩き出しました。

 

この墓地はとても眺めの良い広大な芝生の敷地にあります。

それぞれ購入した区画があって、1箇所スコップで掘られて四角い穴が空いており、その穴の前で4人の男性スタッフが立って待っていました。

穴の横には大量の掘り返された土が人の高さぐらいまで山のようになっています。

その穴に棺を運び入れると、男性が一人、また一人、1スコップ分の土をかけて次の人に渡し、また1スコップ分の土をかけて、というのを繰り返しました。この儀式は男性だけみたいです。

全員が土をかけ終わってもまだ中途半端なのですが、後はスタッフの仕事みたい。中途半端で終わりました。

ここでもお祈りをした後、また男性の列と女性の列に分かれてくださいと言われました。

男女の列の距離は20m以上あり、ここでも男女分かれるのかーと思ってしまいました。

Jewishには男女それぞれに厳しい戒律があって、各家庭によって厳しさや内容が違うらしいですが、友人はあまり厳しいルールが好きではないので「Old fashioned !」と文句を言っていたのを思い出しました。

それぞれ2列になって長い道を作り、最も近い間柄の家族(故人の妻や子供達など)が、

みんなが作ってくれた道を端から端まで歩きます。

小学校の入学式や卒業式に在校生が花のアーチを作って主役が真ん中を通る、あのイメージです。

これを本来は3往復する儀式だそうですが

「往復一回でいいよね。」と言いながら省略していました。

最初から最後までとても興味深く、思い出しながら文章にしてみましたが伝えきれていない部分がたくさんあります。

あの雰囲気はなんとも言えません。Jewishの悲しい歴史や華やかなな世界で活躍するJewishの人たちの歴史。

強さと逞しさがあって、親族の結束が強いのは力を合わせて生き延びてきた歴史があるから。色々と考えさせられます。

良い経験をさせてもらいました。